2018年5月27日日曜日

出会って守られてお返しをする



我が家には1羽の鳥が一緒に暮らしている。

オカメインコという種類で、人間でいうほっぺたのあたりに、オレンジの真ん丸がついているので、いつでもご機嫌に見える。

 

鳥の老いじたくというテーマでお話会があるというので、参加した日のこと。

会場は愛鳥家の方たちでいっぱいだった。「どうやったら長生きしてくれるか」という話題になると、先生は室温や生活リズムなどについて話した後、こう言った。

 

「愛されているな、生きていてもいいんだなと思えることが大事です。」

 

 

 

友人のデザイナー夫婦にお願いして、パンフレットを作っていただいている。制度が変わり、必要な場面が出てくることがありそうだという判断で、えいやっ!と作り替えることに決めた。決めたんだけど、なかなか決まらない。

形が見えてきたところで、わたしたちが「ちょっと待って」と保留にしてしまったから。

 

形が見えてきたので、分からないことがはっきりした。

でも考えれば考えるほどわからない。

「これを手に取ってくださった方に伝えたいことって何なんだろう。」

「わたしたちがやっていることってなんなんだろう。」

 

 

いい仕事だよね、大事な仕事だよねと言われたり、

寄り添います、お話聞きますという言葉を見聞きしたり、

「いい話だねぇ」と言われたりすると、頭がストップしてしまう。モヤモヤしてしまう。

 

 

「ケアしてほしい人はいないと思う。

だから正しいことをやっていると思わないほうがいい。」(最首悟『星子が居る』)

その通りだと思っている。                                      

 

 

パンフレットに載せる文章を考えていたら、だんだんと就職活動をしていた頃を思い出してきた。エントリーシートみたいだ。

何ができます、何が得意です。御社に貢献します。

 

でも、介護の仕事はそういう「生産性」のようなものと相性がよくない、と思う。

 

1人では生きられない。年齢にかかわらず。

誰かの人生に触れるとうれしい。はっとする。

価値観は人それぞれ。あまりにも、人それぞれすぎてびっくりする。

人生は、関わってくれる人の目で、いくらでもどうにでも変わる。

 

わたしたちは、訪問先のおじいちゃんやおばあちゃんの目に、守られている。

それを、返すのはいろんな形の敬意、だ。

そこに登場する、おじいちゃんもおばあちゃんも家族も介護職も、みんなが当事者で、上下関係も、する/されるでもない。当り前の話だ。

わたしたちは、出会って守られてお返しをする。そういう仕事をしている。

それがたまたま仕事になっている。

 

でも、そんなこと、パンフレットには書けないよなー。