想像力は必要だけど、勝手に想像して分かった気持ちになって裁くようなことにはならないでほしいと思う。裁いたり、評価したりしないでほしい。そう思うし、自分もそうでありたい。
想像力は大切にしたい。でも、想像力も自分の想像できる範囲でしかないことも事実だと思う。
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「女学校時代の修学旅行の行先は広島だった」と、その方はおっしゃった。80歳は何年も前に過ぎている。
わたしの高校の修学旅行は広島・神戸・倉敷でしたと言ったら、広島では被爆した人が案内してくれた?と聞かれ、案内役はたしか先生かバスガイドさんだったと思いますと答えたら、その話をしてくれた。
じっくり見ていたら、ほかの生徒さんに置いて行かれてしまって、キョロキョロしていたら被爆の跡のあるその方が話しかけてきてくれたのだそうだ。
「腕の方はもっとひどいんだ。でもお嬢さんには衝撃が強いだろうから見せないね。」と言ってね。しばらくして友だちに「こっちこっち!」と呼ばれて、すみません行かなければいけないのでとその場を去ったのだけど、友だちからは「自分だけずるい」と言われ、わたしは友だちが呼んでくれてよかったと思ったの、と。
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「焼きうどんになめたけを少し混ぜるとおいしいのよ~だから今日なめたけをお願いしたんだけどね。少しよ少し。わたしは、なんだけどね~」とすごくうれしそうにおっしゃる。えー、なめたけを~!と私はびっくりする。そして、2人で大笑いをする。
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怒られたことを、八木亜希子さんはノートにつけていたと聞いた。怒ってもらえるのは若いうちだけだから、と。
気持ちを切り替えるとか忘れよう!ではなく、残していたといいなと思った。やってみようかなと思った。怒るのはとても大変なことだから、もし私が怒る側だったら、そうしてくれていたら勇気を出して怒ってよかったと思う。