酷暑が始まったころ、その方のお宅のクーラーが壊れてしまった。
扇風機もない。窓を開けるのもどうやらお好きでないご様子。
「どうだった?」「心配だよ。」「熱中症が…」
訪問するヘルパーの不安が、どんどん切羽つまった感になっていく。
そんな時に、あるヘルパーが台所で冷風機を発見した。
「冷」にはならないけど、取りあえず風が吹く。
次の日訪問したら、部屋の中が快適になっていた。
「よかったですね~」と心から言うと、
「昨日、気のいいおっさんが“使った方がいい”って出してくれたのよ」とのこと。
お上品な口調で「気のいいおっさん」と言われたそのヘルパーは、
別の日には同じ方から「泥棒がソファーのところで洗濯物を畳んでいたので、声をかけたら窓から逃げていったわ」と言われていた。
「一人で何役も大変だね」と、先輩ヘルパーに言われていた。
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