作品名:寒牡丹
作者:Eさん
Eさんはとてもチャーミングな女性で、まだ数えるほどしかお会いしていない頃、わたしの緊張を察してか、「あなたはエプロンがしわくちゃだからリラックスできていいわ」と茶目っ気たっぷりの笑顔を見せてくださった方。
この『寒牡丹』は冬の間だけお宅の居間に飾ってあるものと同じもので、聞けばデイサービスでのぬりえの時間に仕上げたのだということでした。
すてきだなぁと見ていたのを気づかれたのか、後日Eさんが「そうそう、これ、あなたに。失礼でなければどうぞ。」と。
「葉っぱの茎の部分ってどんな風だったかなと思って、見てみたのよ。」
『寒牡丹』の話は途切れず、ニコニコとお話しされるEさん。どのタイミングだったか、この感じ知ってるんだけど何だったかなと思うような瞬間がありました。
何となく気になったまま、作品を大事にカバンへしまって、次のお宅へ。自転車を走らせながら思い出したのは小学生のころの教室の風景でした。休み時間に、小さくて髪の長いまなちゃんが描く絵をみんなで囲んで見ている様子。わたしは「へぇ、自転車ってこういう部品が組み合わさってできているんだ」「よく見ているなぁ」と思いながら、次はあれを、次はこれをとリクエストしていました。絵を通してそのモノと出会えるような感じが好きでした。
同じように、Eさんのまなざしを通して出来上がった『寒牡丹』が、牡丹の花を教えてくれた感じがしたんだなぁと。その人が合わせたピントが、自分が見過ごしていたことを気づかせてくれる。
葉っぱの根元の太い茎は、赤や茶色や緑の混ざった色で塗られていました。
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