2016年5月4日水曜日

写真の話


訪問介護ことりの壁には、一枚の写真と一枚のことりの版画が掛かっています。



今日は写真のお話。


ある日、いつものように僕が訪問介護ことり事業所(以下、ことり)でボーとしていると、おばあさんがやってきました。

おばあさんが言うには
「うちのじいさんが最近、あやしい。あまり外に出なくなった。
一日中、家でぼーとしてる。あれは、あやしい。」

ふむ、たしかにあやしいですね。

「むかしは、よく外に出ては何かして帰ってきたもんだけど」



あやしい談義をしていると、おばあさん、気がついた。
ことりの中の白い壁に気がついた。
そして、ひらめいた。

「その壁をちょっと貸してほしんだけど」

なになにどーした

「じいさんは、写真を撮るのが好きでね。うちにたくさん写真がある。でも、飾るところがないのね」

ふむふむ

「でさ、ちょうど、よかった、この壁、貸して。この壁にじーさんの写真を飾るの。
自分の写真が飾ってあること知ったら、じーさんも写真を見に外に出るかもしれない」

僕は、すぐに了解した。


数日後、この小さな写真が飾られた。









大自然ではなく、壮大な景色でもない。
野川からゆっくりとやさしい朝もやが立ちのぼる。
それを散歩の途中で写真へ収めた、あの朝。







から、







おじいさんは、まだ、来ない。





◆出演◆
おばーさん(知り合いのハケ 大好きNさん)




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