介護保険という枠組みのなかで動いていると、その仕組みが窮屈に感じることがあります。
「この枠組みに縛られているから、これができない」とか、
「なんでこれをやってはいけないんだー!」とか。
だんだんそれが積み重なると、諸悪の根源のように思えてきて、「こんなものがあるからいけないんだー!」と爆発したり。
しまいには、その言葉を聞くだけで感情がフリーズして、事務仕事モード(無表情)に切り替わるということも。ちょっと大げさに言っていますが、まぁそういうこともあります。
なのですが。
そういう目で見ていたら、何にも変わらないな~という気もしていました。
だって、長くお付き合いしていかないといけない相手=制度なわけですから。
だって、長くお付き合いしていかないといけない相手=制度なわけですから。
ある時、ふと思い出しました。
「住民の声がなければ、行政は動かない。逆に言えば、住民の声があれば行政は動くことができる。あとは、上の人に説明しやすいように、こちらで言葉をもみほぐしていけばいい。」という、
公的機関で長くお勤めされていた方の言葉です。たしか、そのとき70歳を過ぎていたと思うのですが、非常にパワフルな方で、言葉だけでなく活動もされている方でした。
公的機関で長くお勤めされていた方の言葉です。たしか、そのとき70歳を過ぎていたと思うのですが、非常にパワフルな方で、言葉だけでなく活動もされている方でした。
ということは、
制度という「枠」だけを見ていたら、それはルールでしかない。
だけど、この制度を作った人たちの物語を知ることができれば、さらにそこに込められた思いや理由を知ることができれば、
「枠」は「道」になるのかも。
まなざしが変われば、できることが変わる、そんな気がしました。
だけど、この制度を作った人たちの物語を知ることができれば、さらにそこに込められた思いや理由を知ることができれば、
「枠」は「道」になるのかも。
まなざしが変われば、できることが変わる、そんな気がしました。
そこで、
今、『物語 介護保険~いのちの尊厳のための70のドラマ』という本を読んでいます。
朝日新聞女性初の論説委員として17年間社説を担当されていた、大熊由紀子さんの著作です。
北欧に「寝たきり老人」がいないことをきっかけに、従来の日本の介護状況に問題提起をし続けた大熊さん。介護保険制度の確立に大きく影響を与えたのはもちろんのこと、『物語』の中には、行政や現場、医師や一般市民の動きや思いを綴られています。
朝日新聞女性初の論説委員として17年間社説を担当されていた、大熊由紀子さんの著作です。
北欧に「寝たきり老人」がいないことをきっかけに、従来の日本の介護状況に問題提起をし続けた大熊さん。介護保険制度の確立に大きく影響を与えたのはもちろんのこと、『物語』の中には、行政や現場、医師や一般市民の動きや思いを綴られています。
物語は、わたしが生まれる前から始まっていました。
悲しい現実に向き合って声を挙げる人。ユーモアで切り抜ける人。根強い偏見。政治情勢。
読んでいると、「あ、これは今では目指していたものにほぼたどり着いているんじゃないかな。20年以上かかったんだな~」と思うこともあれば、「この時から変わっていないんだな」と思うこともあります。
変わっていないと感じることの多くは、人の気持ちのような気がします。
たとえば、福祉に対する偏見(「自立」とは生活保護や福祉サービスを受けないでも済むようになることを意味する等)、介護者(主に家族)に対する周囲の理解、介護の専門性への疑念など。
もちろん、それが全てでないからこそ、希望が失われずにいるのだと思うのですが。
とりあえず。
今は希望の方に目を向けて。制度を苦心して作り上げた人々の思いを感じて、自分の中にある介護保険に対する偏見から脱したいと思います。
「希望を探すのよ。そうしなければ、悲しいことや暗いことばかり思い浮かんでしまうから。」Iさんの言葉が、天国から聞こえてくるようです。
(え)
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